「レベル1」のプライミング・使い方をマスターする!

どうもカピバラ先生ことDr.カピバラです。

救急外来で大量輸血が必要な時に、「レベルワン用意して!」と医者が言うことがあります。
知らないとそもそも道具なのかすら分かりませんよね。私も初めは何かのレベルかと思ってました。

しかもこのレベルワン、初見では使い方が分かりそうで分からないんです。そしてレベルワンを使う時は大体現場は荒れていて、質問している時間もないと思われます。

今回はそんなレベルワン(LEVEL1)のプライミング・使い方・注意点を説明します。

       
目次

レベルワンとは

そもそもレベルワンとはなんでしょうか?

正式には「LEVEL1 システム1000」という急速輸液装置です。外見は写真の通りで、高さは170cmと結構大きいです。

https://smprops.ca/products/fluid-warmer

適応

ではいつ使うのか。それは外傷や産褥出血などで大量に輸液・輸血が必要な時です。

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昔はポンピングで対応していましたが、手がとても疲れます。

その点レベルワンは輸液を大量に自動で投与でき、しかも加温もされます。実はこの加温は非常に大切です。

接続方法

さて、知らなければ使えませんので、早速接続方法・プライミングを説明します。

実は本体に順番が書いてあるので、その通りに行います。

ちなみに、このは「Level1」の「1」であって、順番の❶ではありません。

1.電源を入れる

本体をコンセントにつなぎ、緑のONのボタンを押して電源を入れます。音がうるさいので注意です。

2.水が入っているか確認する

水を入れるところがあるので、水が入っているか確認しましょう。入れるのは蒸留水です。

3.順番通りに接続していく

❶、❷の筒をはめ込む

❶・❷の順に筒の⑥をはめ入れて行きます。筒だけ見てはめようとすると上下を間違えやすいです。

チューブ全体を見て上下を意識し、チューブの上がY字(①)、下が患者に接続する部位(⑨)になるようにします。
完成図は以下のようになります。

また❷をはめる際は、黒い所を思ったよりも強くしっかりと下にさげます。ここの下げが甘いせいでエラーアラームが鳴り続けることがよくあります。

❸、❹にチューブを付ける

続いて、❸、❹の順にチューブをはめ込みます。こちらも上下が分かりにくいですが、今までと同様、全体の上下を意識して、はめ込んだチューブが絡まないようにしようとすると自然と上下がわかります。

プライミング

❶〜❹まで接続が終わったら、Y字(①)の片方にまずは生理食塩水を以下のように接続しプライミングを行います。
その際なるべく気泡を抜いてください。空気塞栓のリスクとなります。

投与を開始する

プライミングが終了したら、整理食塩水を投与したい輸液・輸血に変更したのちクレンメを開放します。

高カリウム血症を合併している時の輸血ではカリウム除去フィルターを使用しましょう。使い方は以下の通りです。

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バイタルを見て、急速投与が必要な場合は⓯を⓮にすると加圧されます。

急速投与は、例えば低血圧や頻脈の時に行います。ただし出血性ショックの場合はpermissive hypotensionに則り血圧を上げすぎないことも重要です。

加圧しない場合は、加温された輸液・輸血が投与されるのみですが、凝固障害予防には効果的です。

片方の輸液・輸血を投与している間に、Y字(①)のもう片方にも輸液・輸血をセットしておきましょう。

欠点

起こりうる合併症として先に述べた空気塞栓があります。投与する輸液やチューブに大量の空気が入っていた場合はそれらも急速投与され空気塞栓が起こりえます。

しかし、よほど大量の空気でないと起こり得ず、また少量なら投与する前に解消されることがあります。

その他の欠点としては「大きいので運ぶのが大変」、「プライミングなどの準備に時間がかかる」、「電源・コンセントが必要」、「初見では使えない」、「プライミングボリュームが74mLある」などです。

まとめ

レベル1は本体に番号が書いてありますが、上記のような注意点がいくつかありますので今回の記事をよく復習してください。


今回の記事は以下のサイトを参考にしました。

取り扱い説明書(英語)
http://policyandorders.cw.bc.ca/resource-gallery/Documents/Transfusion%20Medicine%20Archive/Smiths_Level_1_H-1200_Rev_0082[5205].pdf

加温チューブの説明書
https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/md/PDF/530361/530361_230AIBZX00008000_A_01_01.pdf


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この記事を書いた人

[専門] 救急、集中治療
[資格] ICLS、BSL、ACLS、PALS、JPTEC、JATEC、JETEC、MCLS
[所属学会] 救急医学会、集中治療学会、中毒学会、外傷学会
[趣味] マラソン、テニス

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