
どうもカピバラ先生ことDr.カピバラです。
救急外来でもICUでも、患者の呼吸状態が悪かったり心肺停止状態であった場合は気管挿管を行いますが、気管挿管は初めは中々上手に出来ないこともあると思います。
今回は挿管がうまく出来ない時の対応について解説します。
Cormack (コーマック)グレード
まず気管挿管で喉頭展開をした際、Cormackグレード (コーマックグレード)を意識するようにしましょう。

Cormackグレード1ならば問題なく挿管できると思いますが、Cormackグレード3や4の場合は挿管が難渋する可能性があります。
その場に他の医者がいた場合、”現在Cormackグレードがいくつであるか”、”気管挿管を完遂するために必要なことは何か”を伝える必要がありますので、Cormackグレードを理解していることは非常に重要です。
この機会にこのグレードは覚えてしまいましょう。
覚え方のコツとしては、グレード1の時は声帯の隙間が1の様に見える、と覚えると覚えやすいです。

グレード4は、「しっぱい(失敗)しそう」で覚えましょう。
ちなみにグレード2にはグレード2aと2bがありますが、今回は割愛します。
気管挿管を成功させるコツ
ではCormackグレード3、4の場合はどのように対応すれば良いでしょうか。簡単なものから順に示します。
1.BURP法

Backward Upward Rightward Pressureの略で、介助者が甲状軟骨部を後方、上方、右方へ圧迫する方法。押す具合を調整し、声帯が見えたタイミングで挿管をします。介助者が必要ですが非常に簡便です。
2. Sniffing position

声帯が見えない場合、そもそもポジショニングが悪い可能性があります。マックグラスでやる場合は枕なしで大丈夫ですが、マッキントッシュ喉頭鏡を使う場合は、枕を後頭部に入れてSniffing position(匂いを嗅ぐポーズ)をとることで、口から声帯までが一直線になります。
(肩枕と言われることもあるので肩に枕を入れている方がいますが、それは違うので注意です)
3. 顎が外れるくらい口を大きく開く
挿管時、口の中の入れ歯がないことを確認した後、クロスフィンガーで口を開けてから喉頭鏡のブレードを入れると思います。
クロスフィンガーをする前に、まず両手で下顎をしっかり挙上しましょう。筋弛緩薬を投与している場合は顎が外れるくらい口を大きく開けてからクロスフィンガーをすることで視野を大きく保つことができます。
その他、舌をしっかり避ける、喉頭鏡の面で持ち上げるなどのTipsがありますが、細かいものについては成書に譲ります。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cadetto/magazine/1003-t1/201010/517030_2.html

コツを説明してきましたが、実は気管挿管で一番大事なことは「人を集める、失敗した時に備え別の方法を用意しておくこと」です。
喉頭鏡で失敗したらマックグラス、ビデオ喉頭鏡、気管支鏡での挿管、それでもダメなら気管切開術に備えメスの準備など、二の矢、三の矢を用意しておきましょう。
病院にシミュレーションセンターがあれば、暇な時に練習しましょう。以下で安く購入することもできます。

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