
どうも、ICUのカピバラ先生ことDr.カピバラです。
ICUの患者ではCRRT(持続的腎代替療法)としてCHDF(持続血液濾過透析)を実施していることがあります。
しかしこのCHDF、混乱しやすいことが多く、非常にとっつきにくいものとなっております。
今回は数回に分けて、CHDFについて解説していきます。
前回の記事はこちら





CHDFの仕組み
CHDFはダイアライザーを経由する際、拡散と濾過の原理を利用して溶質除去や除水を行なっています。
【拡散】

【濾過】

どちらも小学校の理科で習い、イメージはなんとなく湧く方も多いと思います。
しかし濾過に関しては、濾過した液(ろ液)の方が綺麗なイメージがありますが、CHDFにおいては「ろ液」の方を破棄するので混乱される方もいます。
拡散と濾過のイメージを、CHDFに準じた形で紹介します。
分子量

拡散と濾過の話をする前に、まずCHDFによって何を除去したいのでしょうか。
除去できるのは小分子と中分子となります。以下にそれぞれの例を紹介します。
小分子
- 尿素(Urea): 尿素は窒素代謝の代謝産物であり、腎不全によって蓄積します。
- クレアチニン(Creatinine): クレアチニンも腎臓の機能低下によって蓄積します。
- 電解質(Electrolytes): ナトリウム、カリウム、カルシウム、リンなど。
- 小さな毒素: アルコール、薬物、有機酸など。CATMEALで覚えている方も多いです。
(C: カルバマゼピン・カフェイン、A: 抗痙攣薬、T: テオフィリン、M: メタノール、E: エチレングリコール、A: アスピリン、L: リチウム)
中分子:
- β2ミクログロブリン(β2-Microglobulin): 関節症状や骨関節症を引き起こすことが知られています。
- IL-6、TNF-α:炎症性サイトカインも対象となりえます。
拡散(diffusion)

上記はダイアライザーの中身です。
体内の溶質は、拡散によって透析膜を通過し透析液へ移動します。そして移動後の溶質は廃液と一緒に破棄されます。
拡散では、小分子は移動できますが中分子は移動できません。また溶質除去による透析膜への負担は少ないです。
もちろん移動だけですので除水もされません。
一般的に「透析」という場合は、この「拡散」をおこなっています。
濾過(filtration)

濾過とは圧をかけることで溶質を除去する方法です。CHDFの場合は透析液側から陰圧をかけるイメージです。
圧がかかると溶質と一緒に溶媒も移動しますので、除水も一緒に行われます。
陰圧で搾り出された溶質と溶媒は廃液として破棄されます。
除去されるものは小分子と中分子となり、また圧がかかるため透析膜には負担がかかります。
CHDF内での拡散・濾過のイメージ

CHDFでは拡散・濾過が同時に行われますが、分けて考えるとわかりやすいです。イメージは上記のようになります。
つまり、まずは透析液が加わった分だけ拡散が起こります。次に陰圧をかけて濾過を行い、除去した溶質は溶媒と共に廃液として破棄されます。
濾過で除去した溶媒分が除水量となりますが、上記の図に当てはめて式で表すと「廃液−透析液」となります。
まとめ
今回はCHDFでの拡散と濾過について説明しました。
・拡散(透析):小分子を除去、除水なし、膜の負担少ない
・濾過:小分子と中分子を除去、除水あり、膜の負担大きい
まだまだ混乱ポイントがありますので、続きに乞うご期待。
続きはこちら↓


以下サイトを参考にしました。
https://www.am-blood-purif.com/material/?_sft_taxonomy_field=crrt
コメント
コメント一覧 (2件)
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