CHDFをマスターする!③〜誤解しやすいモード(CHD・CHF・CHDF)をマスターする!〜

どうも、ICUのカピバラ先生ことDr.カピバラです。

ICUの患者ではCRRT(持続的腎代替療法)としてCHDF(持続血液濾過透析)を実施していることがあります。

しかしこのCHDF、混乱しやすいことが多く、非常にとっつきにくいものとなっております。

今回は数回に分けて、CHDFについて解説していきます。

前回の記事はこちら

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目次

モードの種類

CRRT(Continuous Renal Replacement Therapy;持続的腎不全補助療法)には以下のモードがあります。

CHD (Continuous Hemodialysis;持続的血液透析)
CHF (Continuous Hemofiltration;持続的血液濾過)
CHDF (Continuous Hemodiafiltration;持続的血液濾過透析)

目的に応じて前々回の記事で紹介したポンプの設定を変えることで、上記のモードのいずれかになります。

ポンプの基本設定

ポンプで設定するものはQBQEQDQSの上記4つとなります。そして、これら4つが定まることで、QF除水速度が決まります。

再度の注意となりますが、QBのみ単位がmL/minであることに注意しましょう。
QB 100mL/minの場合、 100mL/min = 6,000mL/h = 6.0L/hで、QB 6.0L/hとなります。

CHD(Continuous Hemodialysis)

「CHD」は持続的血液透析で、行なっているのは拡散のみです。そのため除水は行いません。

上記の設定では1時間で、QBで得た血液6.0L (=QB 100mL/min)に対してQDで得た透析液0.5Lで拡散による溶質除去を行います。

排液はQEの0.5L/hです。また補液・除水はゼロとなります。

CHF(Continuous Hemofiltration)

「CHF」は持続的血液濾過で、行なっているのは濾過のみです。

上記の設定では透析液0L/h、濾液0.5L/hとすることで0.5L/hの陰圧を作り出し濾過を行います。

1時間で、QBで得た血液6.0Lに対して陰圧をかけることで0.5L分の濾過での溶質除去と溶媒除去を行なっています。

排液は0.5L/hです。

濾過なので0.5L/hの除水を行いますが、0.5/hの補液することで除水自体はゼロとなります。

CHDF(continuous hemodialysis and filtration)(補液なし)

CHDF(continuous hemodialysis and filtration)は持続的血液濾過透析で、拡散(透析)と濾過を行います。

上記の設定は、CHDF(補液なし) = CHD(拡散) + CHF(濾過)に分けることができます。

1時間で、まずQBで得た血液6.0Lに対してQDで得た透析液0.5Lで拡散による溶質除去を行います。

その次に6.0Lに対して陰圧をかけることで0.3L分の濾過で溶質除去と溶媒除去を行なっています。
(QFが0.3L/hになるのは、QE 0.8L/h – QD 0.5L/hであるからです。)

排液は0.3L/hとなります。また補液ゼロのため除水は0.3L/hとなります。

拡散と濾過のぞれぞれの状態に置き換えることが大事です。

CHDF(Continuous hemodialysis and filtration)(補液あり)

上記の設定は、CHDF(補液あり) = CHDF(補液なし) + 補液 に分けることができます。

つまり1時間で、まずQBで得た血液6.0Lに対してQDで得た透析液0.5Lで拡散による溶質除去を行います。

その次に6.0Lに対して陰圧をかけることで0.3L分の濾過で溶質除去と溶媒除去を行なっています。

廃液(濾液)は0.3L/hとなります。

今回は除水した量と同じ量の補液を行うため、除水はゼロとなります。
(除水量に対して補液量が少ない場合は、その差の分だけ除水を行います。)

こちらも拡散と濾過のぞれぞれの状態に置き換えることが大事です。

混乱ポイント

混乱ポイント③

CHDのDはDialysisで透析という意味ですが、行っているのは拡散です。

CHD、CHFと名前で理解しようとすると混乱の元となりますので、必ず「拡散」をしているのか、「濾過」をしているのかを把握しましょう。

混乱ポイント④

「拡散」は透析液QDの流量がそのまま反映されますが、「濾過」は濾過流量QF、つまり「濾液QE – 透析液QD」の流量が反映されます。

それぞれ拡散・濾過に対して流量の名前が違いますし、濾過については濾過流量QFを計算しなくてはいけないので注意です。

まとめ

今回はCRRTのモードについて拡散と濾過に準じて説明しました。

・CHD:拡散のみ
・CHF:濾過のみ
・CHDF(補液なし):拡散+濾過+除水
・CHDF(補液あり):拡散+濾過+補液

まだまだ混乱ポイントがありますので、続きに乞うご期待。

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以下サイトを参考にしました。
https://www.am-blood-purif.com/material/?_sft_taxonomy_field=crrt

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この記事を書いた人

[専門] 救急、集中治療
[資格] ICLS、BSL、ACLS、PALS、JPTEC、JATEC、JETEC、MCLS
[所属学会] 救急医学会、集中治療学会、中毒学会、外傷学会
[趣味] マラソン、テニス

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