針・カテーテル・ドレーンの太さの単位はどれ?G (ゲージ)とFr (フレンチ)の違い・換算方法をマスターする!

どうも、ICUのカピバラ先生ことDr.カピバラです。

ICUでは末梢点滴だけでなく、Aライン、CV、バスキュラーカテーテル、ECMO、胃管、尿道カテーテル、胸腔ドレーン、気管挿管チューブなどいろいろな管を用います。

そしてそれらのカテーテルやチューブのサイズを表す単位として、ゲージ(G)フレンチ(Fr)が一般的に用いられています。それぞれの単位は異なる計測方法に基づいており、特定の用途や製品に適したサイズを示すために使用されます。

今回は、ゲージとフレンチの違い、そして各種カテーテルのサイズについて詳しく解説します。

       
目次

ゲージ(G)とは?

ゲージ(G)は、針やカテーテルの内径を表すために広く使用されています。

ゲージの数値が大きくなるほど、針やカテーテルの直径は小さくなります。例えば、18Gの針は20Gの針よりも太く、16Gの針は18Gの針よりもさらに太いです。

【ゲージの由来】

「ゲージ」という言葉は、正式には「AWG(American Wire Gauge)」という規格の言葉が由来です。

AWGとは電線の導体の太さを表す単位です。

https://shopdelta.eu/awg_l2_aid938.html

電線を細くする際、少しずつ狭いところを通して細くします。

つまり、上記のイラストのように、まず電線を細くする場合、 a) の太さの穴に通して細くします。さらに細くしたい場合はb)→c)→d)→e)の順に通して細くしていきます。この工程の数がゲージ数に該当します。

そのためゲージが多いほど太さは細くなるのです。

以下がゲージとインチ、mmの換算表です。

https://www.firgelliauto.com/en-jp/blogs/news/understanding-wire-gauge-sizes-awg-101

一般的なゲージサイズの例

https://medical.jms.cc/pdf/A084_injectionneedle_catalog.pdf

●静脈点滴

  • 14G: 太い(外径約2.1mm)、大量輸液や緊急時に使用
  • 16G: 中程度の太さ(約1.7mm)、大量輸液や輸血に使用
  • 18G: 標準的な太さ(約1.3mm)、標準的な輸液や薬剤投与に使用
  • 20G: 細め(約1.0mm)、通常の輸液や薬剤投与に広く使用
  • 22G: 非常に細い(約0.8mm)、細い血管や小児に適しています
  • 24G: 極めて細い(約0.6mm)、新生児や非常に細い血管に使用

●動脈カテーテル(Arterial Catheter)

  • 20G: 外径が約1.0mm。標準的な動脈ラインに使用されます。
  • 22G: 外径が約0.8mm。特に細い動脈や小児に使用されます。

●中心静脈カテーテル

  • 16G: より大きな内径で、迅速な流体投与が可能です。
  • 18G: 通常の流体および薬剤投与に適しています。
  • 20G: より細いカテーテルで、特定の状況で使用されます。

フレンチ(Fr)とは?

フレンチ(French, Fr)はフランス人医師シャルル・エドゥアール・ポティエによって考案されました。

主にカテーテルのサイズを示すために広く使用されており、1Frは約0.33mmに相当します。

つまりフレンチサイズが大きくなると、カテーテルの直径も大きくなります。

フレンチサイズ(Fr)=直径(mm)×3

例えば、直径が2ミリメートルのカテーテルの場合、そのフレンチサイズは2 × 3 = 6Frです。

フレンチサイズの具体例

フレンチサイズは、さまざまな医療器具に応じて選ばれます。以下に、いくつかの代表的なフレンチサイズとその用途を示します。

胃管(Nasogastric Tube, NG Tube)

  • 成人用: 14Frから18Fr
  • 小児用: 5Frから12Fr
  • 新生児用: 5Frから8Fr
  • 急性薬物中毒:口から28Fr

尿道カテーテル(Urinary Catheter)

  • 成人用: 12Frから16Fr
  • 小児用: 6Frから10Fr
  • 新生児用: 5Frから6Fr

動脈シース(Arterial Sheath)

  • 4Frから8Fr

●胸腔ドレーン

  • 気胸:16Frから24Fr
  • 血胸:24Frから32Fr

ゲージとフレンチの換算表

下記の換算表は、ゲージとフレンチの一般的な対応関係を示しています。

ゲージ(G)外径(mm)フレンチ(Fr)
14G2.1 mm6.3 Fr
16G1.7 mm5.1 Fr
18G1.3 mm3.9 Fr
20G1.0 mm3.0 Fr
22G0.8 mm2.4 Fr
24G0.6 mm1.8 Fr

適切なサイズ選択の重要性

患者の状態や手技の目的に応じて適切なサイズのカテーテルを選択することは、医療の安全性と効果を高めるために重要です。例えば、緊急時の大量輸液には太いカテーテル(低いゲージまたは高いフレンチ)が必要ですが、細い血管や小児には細いカテーテル(高いゲージまたは低いフレンチ)が適しています。

まとめ

ゲージ(G)とフレンチ(Fr)は、それぞれ異なる基準でカテーテルやチューブのサイズを示す単位です。医療現場では、患者の状態や手技に応じて最適なサイズを選択することが求められます。ゲージは主に針の太さに、フレンチはカテーテルの外径に使用されるため、その違いを理解し、適切な選択を行うことが重要です。

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この記事を書いた人

[専門] 救急、集中治療
[資格] ICLS、BSL、ACLS、PALS、JPTEC、JATEC、JETEC、MCLS
[所属学会] 救急医学会、集中治療学会、中毒学会、外傷学会
[趣味] マラソン、テニス

コメント

コメント一覧 (1件)

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