CHDFをマスターする!①〜誤解しやすい流量・ポンプ・単位をマスターする!〜

どうも、ICUのカピバラ先生ことDr.カピバラです。

ICUの患者ではCRRT(持続的腎代替療法)としてCHDF(持続血液濾過透析)を実施していることがあります。

しかしこのCHDF、混乱しやすいことが多く、非常にとっつきにくいものとなっております。

今回は数回に分けて、CHDFについて解説していきます。

       
目次

CHDFとは

CHDF(Continuous Hemodiafiltration)とは持続血液濾過透析とも呼ばれ、重症の急性腎不全や多臓器不全などの状態に対する腎臓補助療法の一形態です。人工腎臓装置を使用して患者の体内から毒素や余分な水分を除去したり、血液中の化学物質や水分のバランスを維持したりすることを目的としています。

ICUではショック状態のことが多いですが、HDのような急激な治療では循環動態が崩れてしまいます。そのため持続で行うCHDFを実施することが多いです。

なお緊急透析の適応は高カリウム血症をはじめとし、AIUEOと呼ばれています。

また回路内の血液が固まらないように、回路内に抗凝固薬を使用します。詳細は以下の記事を参照ください。

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CHDFの血流の流れ

まずCHDFはブラッドアクセスから血液を取り出し、透析器(ダイアライザー)を経由し拡散・濾過することで溶質除去や除水を行い体内へ戻します。場合によっては補液がダイアライザー経由後に補充されます。これが体内での流れです。

一方、体外での流れは透析液がダイアライザーを経由して廃液となり、破棄されます。

体内の流れ体外の流れがあることを理解しましょう。

液量の名前

まずは分かりにくい液量の名前を理解しましょう。

QB:血液流量 blood flow rate
QD:透析液流量 dialysate flow rate
QF:濾過流量 filtration flow rate 
QS:置換液流量 substitution flow rate
QE:濾液流量 effluent flow rate

液量は上図に対応しています。そして上記から除水量 は QF – QSで表現できます。

またQE=QF+QDとなります。

略語が多く、名前も似ていて馴染みもないので混乱してしまうと思います。まずはこの図の対応を把握してください。

ポンプの名前

液量は先ほどの通りですが、それを可視化するにはポンプを使う必要があります。上記のように4ヶ所ポンプを配置することで、CHDFでの各液量を把握できます。4ヶ所のポンプの名前は以下の通りです。

・血液ポンプ
・透析ポンプ
・濾過ポンプ
・補液ポンプ

さて先の流量のイラストとポンプのイラストを見比べてみてください。
上記のポンプが先ほどの液量を反映しているのですが、濾過ポンプだけは濾過流量を反映していません!!
混乱ポイント①です。

・血液ポンプ = QB(血液流量)
・透析ポンプ = QD(透析液流量)
・濾過ポンプ = QE(濾流量)
・補液ポンプ = QS(補液流量)

先の流量のイラストとポンプのイラストを見比べてみてください。
濾過ポンプは濾液流量を反映していることに注意してください。

流量の単位

混乱ポイント②があります。それはポンプの単位が違うことです。

・血液ポンプ:mL/min
・濾過ポンプ:L/h
・透析ポンプ:L/h
・補液ポンプ:L/h

よく見ると血液ポンプだけは単位がmL/minとなっています。

つまり

血液ポンプ 100mL/min の場合は単位を[L/h]に合わせると 6,000mL/h = 6.0L/hとなります。

この血液ポンプ 6.0L/h は今後出てくるので、今のうちに慣れておきましょう。

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まとめ

今回は誤解しやすい流量、ポンプ、単位について説明しました。

混乱ポイントをまとめると、

濾過ポンプは濾液流量(QE)を反映している。(濾過ポンプ≠濾過流量(QF))
・血液ポンプだけは単位がL/hではなくmL/min。

まだまだ混乱ポイントがありますが、今回はここまでです。

続きはこちら↓

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以下サイトを参考にしました。
https://www.am-blood-purif.com/material/?_sft_taxonomy_field=crrt

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この記事を書いた人

[専門] 救急、集中治療
[資格] ICLS、BSL、ACLS、PALS、JPTEC、JATEC、JETEC、MCLS
[所属学会] 救急医学会、集中治療学会、中毒学会、外傷学会
[趣味] マラソン、テニス

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